VDT症候群

VDT症候群

皆さんは「VDT症候群」をご存じですか?Visual Display Terminalの略で、パソコンなどのモニター画面のことを指します。

近年パソコンがどこでも利用されるようになり、家庭でも、職場でもモニター画面を見ることが多くなりました。ご家庭での趣味としてパソコンをされている分には、身体への影響は差ほどではないと思いますが、仕事で利用されている方は、自分の好みで仕事量を調節できないので大変です。このパソコン端末を仕事としている人に、いろいろな体の不調を訴える人が多いです。

訴えとして多いものは、目の疲れ、視力低下、腕や肩の疲れと痛み、腰痛、頭痛、消化器症状(食欲不振、胃痛、便秘)等です。このような、モニター画面(VDT)作業者に起こる体の不調をVDT症候群と呼びます。VDT症候群の原因は、疲れやストレスと考えられています。

瞬きの回数が少ない

まず、VDT作業者は画面を固視する時間が長いことがあげられます。キーボードは反応的に指が動いているので、神経は画面に集中しています。このため、目の神経野筋肉の緊張だけが極端に高まっており、瞬きの回数が、平常の四分の一以下に減ってしまいます。瞬きは、目の表面を潤し、角膜に栄養と酸素を供給します。この瞬きが減少すると、目が乾燥し、早く目が疲れてしまうのです。この程度がひどい場合を、ドライアイと呼びます。ではそうならないためにはどうしたら良いでしょうか?

まず、VDT作業時は意図的に瞬きを多くするようにしましょう。また目が乾き難いように、室内の湿度に気を配り、必要なら加湿器を使用しましょう。特に冬は、空気が乾燥してますから、エアコンの効いたオフィスでの作業は気をつけなければなりません。エアコンの風が直接体に当たらないようにすることも大切です。目の乾きを感じたら、人工涙液の目薬をこまめに使用しましょう。

50分の作業に10分の休憩

連続して打鍵作業を続けると、約45分でミスが急に多くなるといわれています。したがって、それ以上に無理に作業を続けることは、作業者に多大なストレスを強いることになり、作業の効率性を失います。ですから、少なくとも50分の連続VDT作業を行ったら、10分程度の休息時間を設け、目を休めるようにしましょう。

休む時は、視線が遠くになるような軽作業を行ったり、しばらく目を閉じているのも効果的でしょう。コンタクトレンズを使用している場合は、しばらくでもコンタクトレンズを外すことで、早く目を回復させることができます。また、軽く暖めたタオルで目を暖めると、目の潤いが戻りやすく、乾燥から目を早く癒やすことができます。

作業姿勢は正しく

不自然な姿勢は、腕、肩、腰など、体全体に負担をかけ、集中力を減弱させます。またこれが眼精疲労の原因となります。作業姿勢は、長時間のVDT作業を行う上で大変重要です。

軽く背筋を伸ばして椅子に腰掛けた時に、お尻から太もも全体で体重を支える感じになり、軽く足が床につくようにしましょう。この姿勢で、腕が自然にキーボードを操作できるように高さを調節しましょう。キーボードは、机の上に直接置いた方が、腕にかかる負担が少ないようです。モニター画面は、あまり高い位置にならないようにします。視線が水平よりやや下向き(約15~20°下向き)になるくらいが良いようです。これは、卓上の書ついに視線を移しやすいことと、上瞼(うわまぶた)が少し下がるので、眼球の露出度が減り、目が乾燥しにくくなるからです。

VDT作業と老眼鏡

老眼になっている人が、VDT作業を行うには、やはり老眼鏡が必要です。しかし、いつもの老眼鏡を使用するとモニター画面が見づらい場合があります。それは、なぜでしょうか。そもそも普通の老眼鏡は、目からの距離が30センチの物が丁度良く見えるように作られていることが多いです。VDT作業でのモニター距離は、目からの距離が40~50センチありますから、老眼鏡の距離では合わない訳です。理想的なVDT作業環境を得るには、モニター画面にピントの合うメガネを作った方が良いことになります。

モニター画面にピントが合うメガネとはどんなメガネでしょうか。

1.ほんの少し度数の弱い老眼鏡

普通の老眼鏡は目から30センチの距離にあわせてあります。レンズの度数が少し弱いと、その分だけピントの合う位置が遠くなります。VDT作業専用に、40~50センチの距離に合う弱い老眼鏡を作るか、以前使っていた老眼鏡で、ピントがモニター画面に合う物がないか探してみてはいかがですか?ただし、本当に使えるかどうかは、みやた眼科に持ってきて下さい。調べます。

VDT作業と老眼鏡

2.遠近両用メガネ

境目のない遠近両用メガネなら、モニター画面に丁度ピントの合うところがレンズの中にあるはずです。小河を上げ下げしてみて下さい。同じ遠近両用メガネでも、境目のあるタイプは駄目です。

3.中近両用メガネ

(2)の遠近両用メガネと似ていますが、遠くを見ることは目的とせず、デスクワーク専用として作られるメガネです。30センチ~1メートル程度までの距離にピントが合うので、広い机での作業には大変便利です。


VDT作業に適したメガネを合わせることは、なかなか大変なことです。なぜならば、その人の目の状態(視力、老眼の程度)を把握した上で、そのVDT作業環境を再現してレンズの種類や度数を決めなければならないからです。
VDT症候群でお悩みの方は、是非ご相談下さい。

他の診療内容を見る