老眼

老眼

老眼クイズ!

以下、10の問題があります。答えは○×です。
あなたは難問正解できますか?

問1.老眼とは加齢による調節力(ピントを合わせる力)の低下をいう。

問2.どんな人でもいずれ老眼になる。

問3.子供も「老眼」になることがある。

問4.老眼鏡はいつも凸レンズで作られる。

問5.凸レンズを通して見ると、少し物が大きく見える。

問6.近眼の人は、老眼になっても老眼鏡はいらない。

問7.老眼の進行は70歳頃に止まる。

問8.老眼鏡を使うと、老眼が進むので、できるだけ使わない方が良い。

問9.老眼鏡の度数は弱めに合わせる方が良い。

問10.老眼レンズは薄型レンズの方が歪みが出にくく、見やすい。

40歳を過ぎて、新聞の字が見えにくくなってきたら、老眼の可能性があります。老眼は非常に身近な目の変化ではありますが、老眼を十分理解している方は少ないのではないでしょうか。


老眼とは

「最近、新聞や本の文字が読みにくくなった」「スマートフォンを見る時、つい腕を伸ばしてしまう」「薄暗い場所だと特にピントが合いにくい」… もし、このような経験が増えてきたら、それは「老眼(ろうがん)」、医学的には「老視(ろうし)」のサインかもしれません。

老眼とは、調節力(ピント合わせの機能)が加齢のために低下することをいいます。カメラで写真を撮る時、ピントを合わせるのと同じように、被写体が遠くの時は遠くに、近くの時は近くにピントを合わせます。このピント合わせを上手にしないと、ピンぼけの写真になってしまいます。老眼とは、このピントを合わせられる距離の範囲が狭くなっている状態です。調節(ピント合わせ)は目の水晶体が膨らみを変化させることで行っており、加齢により水晶体が硬くなると、その膨らみが変わりにくくなりピントが合いにくくなるという訳です。調節力の低下は加齢以外でも起こります。例えば、若年性白内障、むち打ち症、自律神経失調症などです。加齢によって起こった場合のみ老眼といい、加齢以外の原因で起こった場合は老眼とはいわず、「調節麻痺」とか「調節不全」といいます。ですから子供に老眼はありません。

老眼になったらどうするか

老眼は水晶体の加齢によって起こるもので、全ての人に起こります。だいたい40歳頃より始まり70歳頃まで進行します。老眼の進行は防ぎようがなく、なったら老眼鏡で対応するしかありません。老眼鏡は3~5年で度数が合わなくなりますから、その都度レンズを換えていかなければなりません。「老眼鏡をかけると老眼はすすむから」と、老眼鏡をかけずに頑張る人が居られますが、これは目に無理をかけていることになり、決して褒められることではありません。老眼鏡をかけないために緑内障になることもありますから、老眼鏡は積極的に使用しましょう。

老眼は予防できる?

残念ながら、加齢による水晶体や毛様体筋の変化を完全に食い止める方法はありません。つまり、老眼を予防することはできません。

しかし、目の疲れを軽減するために、

  • 手元の作業をする際は、十分な明るさを確保する。
  • 長時間近くを見続ける作業をする場合は、1時間に10分程度の休憩をとり、遠くの景色を見るなどして目を休ませる。
  • 目に良いとされる栄養素(ビタミンA、ルテインなど)を含むバランスの取れた食事を心がける。

といったことは、目の健康維持に役立ちます。

近視の人も老眼になる

近視(近眼)の人は老眼にならないと思っている人はいませんか。それは間違い。近眼の人もちゃんと老眼になります。近眼の人が老眼になると近眼のメガネをかけたまmでは手元の小さな文字が見づらくなります。近眼の程度がどれくらいかによって対応方法が若干異なりますが、弱い近眼メガネを老眼鏡として使用するか、メガネを外して読み書きをすると良いでしょう。

近視や遠視との違いは?

  • 近視: 遠くのものがぼやけて見える状態。(ピントが手前で合ってしまう)
  • 遠視: 遠くも近くもピントが合いにくい状態。(ピントが奥で合ってしまう。軽い遠視だと若い頃は調節力でカバーできる)
  • 老眼: 加齢によりピント調節力そのものが衰え、特に近くにピントを合わせられなくなる状態。

もともと近視だった方は、老眼になっても「メガネを外せば近くが見える」という場合があります。一方、遠視だった方は、もともとピント合わせに力を使っているため、老眼の症状をより早く自覚することがあります。

老眼の主な症状

以下のような症状に心当たりはありませんか?

  • 新聞、本、スマートフォンの文字がぼやける、読みにくい
  • 細かい作業(針に糸を通すなど)がしづらい
  • 以前より明るい場所でないと、手元が見えにくい
  • 近くのものを見る時、無意識に顔から離してしまう
  • 近くを見た後に遠くを見ると、ピントが合うまでに時間がかかる
  • 長時間近くを見ていると、目が疲れる、しょぼしょぼする
  • 肩こりや頭痛がする

これらの症状は、老眼が原因である可能性があります。

老眼への対処法(矯正方法)

老眼自体を治療して元に戻す(老化を止める)ことはできませんが、見えにくさを解消し、快適な生活を送るための方法はいくつかあります。

1. 老眼鏡(リーディンググラス):

  • 最も一般的で手軽な方法です。
  • 近くのものを見る時だけかけます。
  • 既製品: 安価で手に入りやすいですが、左右の度数が同じ、瞳孔間距離(左右の黒目の中心間の距離)が合わないなどのデメリットも。一時的な使用や、短時間の使用に向いています。
  • オーダーメイド: 眼科で検査を受け、自分の視力や用途、瞳孔間距離に合わせて作る老眼鏡です。より快適な見え方が得られます。

2. 遠近両用メガネ:

  • 1枚のレンズに、遠くを見るための度数と近くを見るための度数が入っているメガネです。
  • メガネをかけ外しする手間が省けます。
  • 二重焦点レンズ: レンズの下部に小窓のように近用部分があるタイプ。境目がはっきり見えます。
  • 累進屈折力レンズ(プログレッシブレンズ): レンズの上部から下部にかけて徐々に度数が変化しており、境目がありません。見た目が自然ですが、慣れが必要な場合や、視野に歪みを感じる部分があります。中間の距離(パソコンなど)も見やすいタイプもあります。

3. 遠近両用コンタクトレンズ:

  • メガネと同じように、1枚のレンズで遠くと近くの両方が見えるように設計されたコンタクトレンズです。
  • メガネをかけたくない方、スポーツをする方などに適しています。
  • 見え方に慣れが必要な場合や、やや見え方の質(鮮明さ)が落ちることがあります。

4. モノビジョン:

  • コンタクトレンズやレーシック(屈折矯正手術)で行われる方法の一つです。
  • 片方の目を遠くが見やすいように、もう片方の目を近くが見やすいように、左右で異なる度数に矯正します。
  • 脳が両目からの情報を統合して、ある程度遠くも近くも見えるようにしますが、慣れが必要です。立体感や奥行きを感じにくくなることがあります。

5. 手術による方法:

  • 多焦点眼内レンズを用いた白内障手術: 白内障がある場合に、白内障手術で濁った水晶体を取り除き、代わりに遠・中・近などにピントが合う「多焦点眼内レンズ」を入れる方法。白内障と老眼を同時に治療できますが、健康保険適用外で高額になることや、見え方の質(ハロー・グレアなど)に注意が必要です。
  • 角膜インレー: 角膜の中に小さなリングなどを挿入して、ピンホール効果などで近くの見え方を改善する手術。比較的新しい方法です。
  • 老眼用レーシック(PresbyLASIKなど): 角膜の形を調整して、遠近両用の見え方を作るレーザー手術。適応や効果には個人差があります。


どの方法が最適かは、その方の目の状態、ライフスタイル(仕事、趣味など)、何を一番重視するか(見え方の質、利便性、費用など)によって異なります。

老眼鏡を作るにあたって

普通、老眼鏡は凸レンズ(遠視用レンズ)で作られますが、近眼の人の老眼鏡は凹レンズ(近視用レンズ)で作られる場合もあります。老眼レンズの度は人様々なので、他人の老眼鏡をもらって使用することは止め、自分の目に合った老眼鏡を作るようにしましょう。この際、レンズの度は弱めにせず、しっかり度を入れてもらって下さい。凸レンズは若干の拡大校があるために、度が強いと歪みが気になる場合がありますから、この場合は薄型のレンズにするか非球面レンズで選ぶと良いと思います。また、レンズをあまり小さくせず、軽いレンズやフレームを選ぶ方が良いと思います。

もしかしてと思ったら、、

「老眼かな?」と感じたら、まずは眼科を受診しましょう。自己判断で市販の老眼鏡を使う前に、専門家による正確な検査を受けることが重要です。

  • 本当に老眼なのか、他の目の病気(白内障、緑内障、加齢黄斑変性など)が隠れていないかを確認できます。
  • ご自身の目の状態(近視・遠視・乱視の有無や程度)に合わせた、最適な矯正方法や度数を提案してもらえます。
  • ライフスタイルに合った対処法(メガネ、コンタクト、手術など)について相談できます。

老眼は誰にでも訪れる自然な変化です。見えにくさを我慢せず、適切な対処をすることで、これからも快適な生活を送りましょう。


クイズの答え

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